*1. パワーストーンを信じている人がいたら,自分の理屈が「風が吹けば桶屋が儲かる」のような強引なこじつけになっていないか考えてみて欲しい.たとえば,ある原因 A がある結果 B につながる可能性を 80% としよう.80% もあれば,ふつうの人はこの因果関係を疑わずに「正しい」と言うだろう.でも同様の因果関係が A ならば B,B ならば C,C ならば D といった具合に 5 度続くとどうだろう.最終的な結論の正当性はたったの 30% になってしまう.ラピスラズリは青い → 青いものを見ると集中力が高まる → 集中力が高まると仕事が捗る → 仕事が捗ると昇任する → 昇任すると給料が増える.ではラピスラズリは昇給するパワーを持っているのだろうか.それが本当なら,僕はアフガニスタンの知り合いからラピスラズリを 10 キロくらい取り寄せて毎日デスクで手を合わせる.「だいたい正しい」の積み重ねは危ないのだ.科学者がみな一様に慎重で,エセ科学に批判的なのはこのためだ.
*2. その多くは(たとえ検証しようとしても)占いと同じく検証すら出来ない類いの言説だ.
*3. 僕は科学の視点を持ちこみ,あまつさえ短波紫外線などという無粋なものまで石にあて,その因果応報として皮膚や目を損傷させている.
*4. エビデンスがなく存在しない可能性が高いものについて「有るかもしれないし無いかも知れない」と説明をすると,あたかも半分半分の確率で存在するかのように誤解させてしまう.想像上で良ければ,有るかも知れないものなど幾らでも作り出せる.そして,それら無数の想像物が 50% の確率で存在するかのような論法は問題があると言わざるを得ない.エビデンスがないものについては,まずは「無い」と考え,確固としたエビデンスが積み上がり仮説が検証された時点で「有る」と考え直すのが真っ当な行き方だろう.